栄養療法 NUTRITIONAL THERAPY

栄養療法とは

「栄養療法」にはいろいろな考え方があります。
朝食は抜いた方が良い、一日一食が良い、糖質制限をした方が良い、昔ながらの食事が良い。
昔と言っても戦前の食事であったり、稲作が始まる前の狩猟採集時代の食事であったりと様々です。
また特定の食べ物がメディアで取り上げられると、その食べ物がスーパーから一時的になくなったり、サプリメントに関しても特定の栄養素が注目され、一時的に流行り、時間と共に違うものに置き換わっていくという状態です。それだけ情報が錯綜し、何が正しいのか分からないという現状です。
私が考える食事の理想は「身土不二」です。
これは、人間の体と暮らす土地は一体で、切っても切れない関係にあるということを意味します。
「三里四方の食によれば病知らず」という言葉もありますが、
結局はその土地のものを食べて生活するのがよいということなのです。
とはいえ、精製されたり、化学薬品で処理された加工食品にあふれた今の時代では、
農薬を全く使用せずにこうした自給自足的なやり方をするのは
仙人のような生活をしなくてはちょっと難しいと思います。

日本人の3つの特性

身土不二は難しいとしても栄養に関して、欧米人と同じように考えるのは問題で、日本人の体質の特性は考えないといけないと思います。特に日本人は3つの特性、乳糖不耐症、倹約遺伝子、インスリン分泌が緩徐という事があります。
まず乳糖不耐症についてですが、乳に含まれる乳糖(ラクトース)を消化するラクターゼの活性は離乳期以降に低下しますが、その度合いが強い体質を言います。欧米人と違い、一般的に日本人のラクターゼ活性は成人になると5~30%に低下しています。

牛乳を飲んで下痢になる人は乳製品の摂取を控えめにした方が良いです。
倹約遺伝子は飢餓に備えてエネルギーを抑え脂肪を蓄える為の遺伝子で、基礎代謝によって消費するエネルギー量が通常に比べ200kcal少ないです。日本人の39%が倹約遺伝子を保有しています。また日本人は膵臓からのインスリン(血糖を下げる唯一のホルモン)の分泌が緩やかなため、血糖が急激に上昇する食品を摂取すると、インスリンが大量に分泌され、かなりの負担が膵臓にかかるため、糖尿病を発症しやすい体質があります。
このような日本人の特性は長い歴史の中で作られた腸内細菌叢によるものが大きいと考えます。腸内環境を整える事は、どのような栄養素を摂取するかと同時に、非常に大切だと考えています。

現在の食事の特徴

体に必要な栄養素として主にエネルギー源となる炭水化物(60%)、脂質(25%)、タンパク質(15%)の3大栄養素に加えてこれらの機能を調節するビタミン、ミネラルを合わした5大栄養素が重要と言われていますが、現在の食事では総摂取カロリーが多すぎます。特に糖質の摂取が多くなっています。またタンパク質、ビタミン、ミネラルに加え食物繊維の摂取量が少なくなっています。
現在の食事の特徴としては、野菜は摘んでから体に入るまでの時間経過が長くなっており栄養価が全体的に低下している状態です。

また加工食品の増加に伴い、カロリーは維持されているものの栄養素が少なく、逆に、食品添加物など有害なものが体に沢山入ってきている為、それを処理するためのビタミン、ミネラルの消費も増大しています。また食事だけではなく、現在社会におけるストレスの増加により、抗ストレスホルモンの分泌も増加し、それを生成するためのビタミン、ミネラルの消費も多くなっている状態です。

バランスの良い食事摂取

生活リズムや体質によっては毎食キッチリと食事を摂取するのは適切でない場合もあります。
例えば会食が多く、夜に食事摂取や飲酒が過多となる場合は、無理に朝食をしっかりと摂取する事はお勧めしません。その場合は空腹感などに応じて個々に体の感覚で判断されるのが良いと考えますし、1日断食をしても良いと考えています。
また、実際に一日一食にして体調が良いと感じるのであればそれでも良いのではないかと思います。万人にあったものはないと考えています。

ただし、オルソグループでは基本的には3食バランスの良い食事摂取をお勧めしています。タンパク質をしっかりと意識して摂取する。適度に炭水化物を摂取する。超加工食品を避ける。食物繊維をしっかりと食べる。食べる順番を考えるなどがあります。

タンパク質

まずタンパク質の摂取量ですが、体重×1.5~2g/日の摂取をお勧めしています。ただし、一度に摂取する量が多くなると腎臓に負担がかかる為、3回に分けて摂取する事をお勧めします。
水分を除くとタンパク質は脂質と共に体の構成要素の多くを占め、体の中のあらゆる場所に存在しています。筋肉、臓器、皮膚、骨、毛髪などの主要成分として存在するほか、体の機能を調整するホルモン、酵素、抗体などの材料でもあります。肉、魚、卵、大豆製品などをしっかりと摂取する事をお勧めしています。

糖質

最近では糖質制限がブームになっている側面もありますが、適度な糖質の摂取は必要と考えています。茶碗に小盛り1杯の米は約80gですが、その程度は摂取する方が良いと考えています。
ブドウ糖は体、特に脳にとっては欠かせない栄養素であり、また短時間に消費される事も考えて、1日3回摂取する事をお勧めしています。
また栄養素を考慮すると白米ではなく玄米や雑穀米をお勧めします。当然、スナック菓子やケーキなどから糖質を摂取する事はお勧めしません。
超加工食品とは高果糖シロップや、着色料、増粘剤、乳化剤などですが、出来るだけ避けたほうが良いと考えますが、完全に避けるのは難しいと感じています。食品ラベルをチェックして少しでも避ける意識を持つようにすると良いのではないでしょうか。

食物繊維

食物繊維は「人の消化酵素で消化されない食物中の難消化性成分の総体」と定義され、動物性食品にはほとんど含まれず、植物性食品に多く含まれています。現在ではほとんどの日本人に不足している食品成分ですので、積極的に摂取することをお勧めします。
食物繊維は、便の量を増加させ便秘の予防とともに、腸内の腸内細菌のうち、ビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌の割合を増やし、腸内環境を良好に整える作用も知られています。血糖値上昇の抑制、血液中のコレステロール濃度の低下作用は広く知られていますが、食物繊維を多く摂取する事で、心筋梗塞、脳卒中、糖尿病、乳がん、胃がん、大腸がんなどの発症リスクが低下するとの報告もあります。
食物繊維の必要量は「一日に一回、規則的に排便がある」ことがひとつの目安になります。腸内環境を整える事は非常に重要で乳酸菌、ビフィズス菌、酪酸菌などを摂取する目的で納豆、みそ、ぬか漬けの摂取もお勧めします。

正しい食事で心身ともに健康に

食べる順番ですが、炭水化物を最後に摂る事をお勧めしています。先ずは野菜、その次にタンパク質というお話が多いですが、野菜とタンパク質はどちらが先でも良いと考えています。大切なことは炭水化物を最初に摂る事で血糖値を急激に上げない事です。血糖が急激に上昇することにより、血糖を下げるインスリンが急激に分泌されます。それにより、低血糖が起こります。急激なインスリンの分泌は膵臓に過度に負担がかかり糖尿病の原因になります。それだけではなく、低血糖により眠気、集中力の欠如、不安感などの精神症状も出現してきます。

まずは、毎日の食事で肉、魚、卵、大豆、野菜などの摂取量を増やし、タンパク質をしっかりと確保する。
そして、日本人が不足しがちな、ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンC、鉄、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、食物繊維などの積極的な補給をしましょう。
特に、女性や多動傾向や癇癪を起しやすいお子さんは、たんぱく質をしっかり確保した上で、鉄を意識して摂取して貰いたいです。
本来、私たちのDNAには、健康な体を作って維持するための遺伝情報が書き込まれています。ただし、原料が不十分なら、その遺伝情報が機能せず、心身に不調が現れる。DNAの原料であるタンパク質、脂肪酸、ビタミン、ミネラルが十分量あれば、DNAが勝手に不調を治してくれます。
基本的には食事による栄養摂取と腸内環境の最適化が良いと考えていますが、それだけではどうしても補えない部分もあり、オルソグループではサプリメントなどの補助食品も必要と考えています。
 オルソグループでは「よりおいしく心も体も喜ぶごちそう」をコンセプトにした飲食店を展開しています。また食事だけでは補えない場合のサプリメントの提供も行っています。皆様の笑顔と元気を栄養からも支えます。