抗インフルエンザ新薬ゾフルーザの話

インフルエンザが流行している。
新しい抗インフルエンザ薬ゾフルーザの売り上げが増加、国内シェアの60%以上を占めているらしい。
ゾフルーザは従来の抗インフル薬とは全く作用機序の違う新しい薬。
新薬であるので薬価は高いものの(1日薬価4789円)一回の服用で済む利便性があり
セールスポイントとして体内のウイルス検出期間を有意に短縮するといわれている。

画期的な新薬ではあるが当院では院内採用していない。
その理由は
タミフルとの比較臨床試験によると
①ゾフルーザはタミフルと比較してウイルス検出期間は短縮できても有熱時間は短縮できない。
    体内ウイルス検出時間はゾフルーザ1日、タミフル3日、投薬なし4日であり、
    ゾフルーザ服用により体内からウイルスは数日早く消失することになるが
    有熱時間の短縮はタミフルもゾフルーザもいずれも平均1日であり大差はない。
    周囲への感染拡大防止という観点からならそれなりの意味はあるが
    タミフルと比べ薬を飲む本人が特別早く楽になれるわけではないということである。
    むしろゾフルーザ投与された人の10%にインフルエンザウイルスの遺伝子変異がみられ
    かえって体内検出時間および夕熱時間が延長する可能性があるとされている。
    (遺伝子変異が容易におこるということは耐性ウイルス出現の可能性もあるということでもある。)

②使用経験がまだ少ない。
    臨床試験ではゾフルーザ服用は610人とある。
    もちろん安全性を確認した上で厚生省が承認したわけであるが将来1000人2000人に一人の
    稀ではあるが重篤な副作用が出てこないかという心配。

そもそもインフルエンザだからといって抗インフルエンザ薬を飲まないと治らないわけではない。
薬はウイルスの増殖を抑えるためであってウイルスを排除するのは免疫の力である。
子供さんや若く元気な人なら薬を飲まないという選択肢も当然ある。
薬にしてもタミフル(経口)リゼンザ(吸入)イナビル(吸入)ラピアクタ(点滴)があり
(ただしイナビルはお手軽な吸入薬であるが海外では臨床試験で結果が出せず使用されていない。)
ゾフルーザでないといけない理由もないと思うわけである。
今後の使用については症例増加による新しい知見を待って考えたい。

寒い日が続きますが皆様十分体調管理にお気をつけ下さい。
(なおこの記事に関して製薬会社との利害関係は一切ありません。)

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